1610133
▲未踏の東端、えりも岬へ
都道府県を跨いだ移動の制限を解除する直前、久しぶりにドライブをしてきました。

38になる誕生日に、何が欲しいかと聞かれ、選んだことでした。


おじさんになると、物欲は減る一方。
モノより、想い出。というわけです。


白い車はレンタカー。
母が乗っていたのと同じモデルを扱っているお店があり、この想い出プランとなりました。

FB_IMG_1592699705885
▲後ろに写るのが母が乗っていたZ3 2.8、手前は私の840ci


CDチェンジャーにはBzのアルバムがぎっしりつまっていて、買い物に付き合わされる時は、オープンでこれを流してハンドルを握る母の横に乗せられました。

「免許を取ったら乗らせてもらう」と勝手に思っていた17歳の頃。

思春期ゆえの素行の悪さで、それが実現したのは29歳になった時でした。

大喧嘩をして実家を飛び出し、それからほとんど会っていなかった母。

会っていなかった…ではなく、会いたくなかった。の方が適当かもしれません。

突然の再会はとんでもない展開で訪れ、仮ナンバーを取得し、借家だった実家を引き払う時に運転したのが、免許を取ってこの車を運転する最初で最後の機会でした。


当時、私は上大岡に住んでいて、上の写真で手前に写っている車に乗っていました。

そこへ母の車が転がり込んできたわけですが、車検は切れている…タイヤはパンクしていてホイールもガリガリ…自分の車は鬼ローンが鬼残っている…

そんな状況だったので、泣く泣く手放しました。


仮ナンバーで応急タイヤをつけて乗った数キロですが、この車のハンドリングの良さや解放感は、10年近くたっても忘れられませんでした。

そんなわけで、いろいろ噛みしめながらレンタカーでしっかりと楽しみたいと、走り出しました。

1610130
▲幌を開けて夏を感じる!

97年のモデルで10万キロ走行のコタコタな車でしたが、さすがはシルキーシックス。

心地よく響く低音のエキゾーストと、わずかな路面の変化をおしりに伝えてくれる足回り。

本当に楽しい車は、スピードを出さなくても十分遊べます。

心地よい風を感じながら、同乗していた妻が流していたのはBzでした。




趣味は人それぞれ、もちろん人生も人それぞれです。

私は、電車もそうですが乗り物が全般的に好きで、車以外にも、バイクや自転車もそこそこやっていました。

これらに限らず、多くの「物体を対象とした趣味人」が必ずと言っていいほど口にする「古いものはいい」という概念。

それも一つのとらえ方ですが、私の場合はちょっと捻くれています。


「昔の記憶」


これが、その古いものに染みついているから「いい」と感じています。




今回、この車を借りて、良くも悪くもたくさんの忘れかけていた過去を思い出しました。

あまり過去を振り返るのは好きではないのですが、いろいろな忘れかけていたものを取り戻せたように思います。


これは、初めてことでんを訪れ、1080形に揺られた感覚に似ていました。



思い出させてくれる形や色



思い出された記憶から、未来に向けて得られるものがたくさんあると思います。



700形で通勤通学した人

700形を一生懸命撮っていた人

ファンタゴンレッドが当たり前だったころの人



ぜひ、単なるリバイバルカラーではないという点をご理解いただき、これからのことでんを、これからの鉄道趣味を、これからの自分自身を、さらに楽しくするためにご支援ください。
告知画像_200513_0016
▲画像よりクラウドファンディングページへ


どうぞよろしくお願い申し上げます。





【文・写真 安田大輔】