【ご案内】
ことでん1080形“還暦の赤”プロジェクト
9月25日よりクラウドファンディング開始決定!
「赤い電車に白い帯」の1000形が颯爽と走るあの光景をもう一度!
http://tkr-charter.jp/type1080project/

イメージ 5

一見同じような形のものがズラッと並んでいるように見える架線柱ですが、
建植する場所や付帯設備の有無、後年の改造によって
1本1本それぞれに個性があるのです。
今回は湘南柱の基本バリエーションをご紹介したいと思います。
なお、形態の名称は便宜上勝手に付けたものですのでご了承ください。

先ずは全てに共通する湘南柱の基本的要素が2つあります。
・リベット止め(鉄柱・ビーム両方とも)
・シングルワーレントラス斜材1本止め
イメージ 1
▲湘南柱の構造

イメージ 2
▲現行のトラス架線柱の構造

昭和30年代頃までは鋼構造物の接合にはリベットが使われていました。
その為湘南柱もリベット止めで作られており見分ける1番のポイントとなります。
ただし改造や補修したと思われる箇所はボルト止めになっています。
昭和30年代以降のボルト止めの架線柱は全身からトゲトゲを出しているような
シルエットですが、湘南柱は先端が丸いリベット止めなので優雅なシルエットになっています。

主材への斜材の取りつけも1本のリベットで止める方法で、本線で多く見かける昭和40年代以降のトラス柱は斜材を別々のボルトで接合しており、また斜材自体も後述する角柱タイプ以外はアングル鋼ではなく平鋼が用いられており、これもまた湘南柱を優雅に見せている1つの理由でもあります。

ただし、昭和30年くらいのボルト止めの柱でも平鋼斜材1本止めのものがあるので騙されてはいけませんw

なお架線柱の番号札に建植年月が記入されていますが、後年に改造を行った際の年月と思われるものが記入されている場合もあり、湘南柱であるか否かの判断材料としてはあまり信用できません。
イメージ 3
▲改造時と思われる年月が記入された札の例

イメージ 4
▲基本的には和暦で記入されているが、一部西暦標記のものもある

前置きが長くなりましたが、湘南柱の基本パターンを見てみましょう
4種類のパターンに分類されます

●標準タイプ
 ・先細り型鉄柱
 ・接合ビーム
 ・ビーム斜材捻り有
THE湘南柱といえるタイプでしょう。一番多く、そして一番美しいタイプです。
イメージ 6

イメージ 7
▲側面から見ると二等辺三角形の形状になっている。中央の添接板から上部には
斜材が無い

イメージ 8
▲2本のアングル材が斜材を挟んで背中合わせにリベット接合されているので、接合ビームと呼ぶこととする

イメージ 9

イメージ 10
▲このタイプの最大の特徴がこのビームの斜材。平鋼を曲げ加工して捻ってある。アングル材的な強度向上を意図したのか意匠的なものなのか…。とても美しい形態である

●平鋼斜材タイプ
 ・先細り型鉄柱
 ・接合ビーム
 ・ビーム斜材平鋼
ビームの斜材に曲げ加工が無く平鋼のままのタイプだが、斜材の角度がきつく、その為に斜材の本数が多いのが特徴。
六神56・57・58号の3基のみの存在。
イメージ 11
▲1本奥の標準タイプのものと比べると違いが分かる

イメージ 12
▲ビーム部拡大

●平行ビームタイプ
 ・先細り型鉄柱
 ・平行ビーム
 ・ビーム斜材平鋼
ビームが2本平行になっているタイプで隧道前後の区間に多く見られる。
斜材は平鋼だが、角度や本数は標準タイプと同じになる
イメージ 13

イメージ 14

イメージ 15


●角柱タイプ
 ・角型鉄柱
 ・平行ビーム
 ・ビーム斜材平鋼
湘南柱といえば先細り型の鉄柱が特徴であるが、実はそうでない湘南柱もある。
角形としたが側面から見ると台形の形状で添接板より下に昇降用(?)のアングル材が水平に取り付けてあるなど、どことなく京浜電気鉄道のガントリー鉄塔に似ています。
このタイプは合成電車線の荷重に耐えられる強度があるようで、合成電車線区間でも無補強で使われており、案外この先も生き残っていくのかもしれません。
八六2・5、八追8、堀大6の4基のみ存在。
イメージ 17
▲添接板より下の斜材にはアングル材が使用されている

イメージ 16
▲合成電車線(左側上り線)区間でも生き残っている堀大6号

如何でしたでしょうか、奥が深いでしょう?
私も観察するまで、こんなにバリエーションがあるとは思っていませんでした。
湘南柱シリーズまだまだ続きます。それではまた次回。

寄稿:保線後ティータイム(Twitter:@hosengoteatime)